もにも~ど

アニメーション制作会社シャフトに関係するものと関係しないものすべて

『もにラジ』番外地「2023年シャフト総括会」

シャフトのオタクがシャフトのアニメについてシャフトのトークをする『もにラジ』。今回は今年の締めくくりとして、『外伝もにも~ど』に掲載した「2023年シャフト総括会」を全編公開します。アニメオタクたちがシャフトにとっての2023年を振り返りつつ、来年に向けた展望なども大いに語っていますので、ぜひ参考にしてみてください。

なお、本記事は2023年10月上旬に収録したものです。したがって、『アンデッドアンラック』における尾石達也オマージュのオープニング、『川越ボーイズ・シング』第9話の作品世界を一変させた武内宣之一人原画・絵コンテ・演出回、ほとんどシャフトが主役の展覧会だった『五等分の花嫁』原画展、そして近年のシャフト史において最大級に衝撃的な出来事と言っても過言ではなかったDaisy×Daisyホールワンマンライブについては触れていません。あらかじめご了承ください。

お便りとファンアートはあにもに(@animmony)のDMまで。どしどし募集中です!

◆参加者プロフィール

 mochimiz(@mochimiz09982
桐崎千棘さんが歌う「Jingle Bells」を聴きまくるオタク。連載当時から千棘一筋。動画に登場するコマが主に原作第197話~第200話からの引用であることにもしっかり気付いている。
…ってば ちゃんと聞いてんの?

 ab
この街には愛のあるLとLがいる。シャフト静岡スタジオAOIの名前がよく他のアニメのクレジットで見られるようになって「おお」と思いました。

 あにもに(@animmony
シャフトアニメを2023年も観るオタク。暖房故障クラスタ
そんなありきたりなのじゃなくて、もっと本質的な挨拶をしない?

【今年の振り返り】

あにもに:2023年のシャフトについて振り返る座談会を行いたいと思います。お相手は『もにも~ど』共同編集のabさんとmochimizさんです。まずはお二人にどのような年だったかざっくりと印象を伺いたいのですが、abさん的にはどうだったでしょうか?

ab:テレビアニメの元請け作品としては『五等分の花嫁∽』のみではありましたが、そのわずか2話分だけで強烈な存在感を放っていた年でした。「最近のシャフトは少しぱっとしない」という世間の声が少なくなかった中で、そういった印象に誤りがあることを証明できたのではないかと思います。また、『マッシュル-MASHLE-』と『女神のカフェテラス』、そして『ゾン100〜ゾンビになるまでにしたい100のこと〜』など、他社作品のグロス請けが目立った年でもありましたね。シャフトは長らくグロス請けをやってこなかったので、そういう意味でも特筆すべき年でした。

あにもに:たしかにグロス請けなどで毎クールどこかしらでシャフトの名前がクレジットされているのを見かけましたよね。mochimizさんはいかがでしょうか?

mochimiz:アニメーターの長田寛人さんと川田和樹さんの躍進の年だったと思っています。『五等分∽』における活躍はもちろんのこと、まさしく長田さんと川田さんのアクション作画ショーと言える『RWBY 氷雪帝国』ファイナル・カット版の再放送もありましたよね。同時に興味深いのが『まじかるすいーと プリズム・ナナ』の10周年スペシャルムービーと『劇場版 魔法少女まどか☆マギカ〈ワルプルギスの廻天〉』の特報PVです。この二つはいずれも10年以上の歴史を貫いていて、さらに奇しくも同じ魔法少女ものなんですよね。そこに10年前はシャフトにいなかった長田さん・川田さんの作画スタイルがガッツリと組み込まれているのがあまりにメモリアルで、感慨深いものがありました。

ab:たしかに最近、シャフトに対するパブリックイメージは少しずつ変わり始めていますよね。以前は演出特化のスタジオとしてみなされていたと思うのですが、最近はアクション作画を得意とするスタジオとして認識している人が少なからずいます(笑)。『RWBY 氷雪帝国』や『マギアレコード 魔法少女まどか☆マギカ外伝』(2020年)などで若手アニメーターのラインが整い始めて、色々と新鮮な映像が現れた影響でしょうね。

あにもに:個人的には、とにかく一年を通してサプライズが盛りだくさんの年だったと思います。『五等分』シリーズの新作をシャフトが手掛けることもまず驚きでしたし、そうかと思えば『プリズム・ナナ』10周年スペシャルムービーが出てきたり、最終的には『廻天』の特報のみならず、『傷物語 -こよみヴァンプ-』という新作まで発表されました。

mochimiz:シャフトが活躍している印象は何かと絶えなかったですよね。アニメに興味はあるけどスタジオやスタッフにまでアンテナを張り巡らせることは難しい、というようなオタクたちからさえも、「シャフト」の名は折に触れて挙がっていたように思います。

ab:決して多作とは言えなかったと思うんですけれども、作品ごとの展開の大きさでいえば濃厚でした。おそらくアニメ業界全体から見ても、『廻天』の特報PVが発表されたことは決定的です。

あにもに:『五等分』もたくさんファンがいる作品ですし、『廻天』をめぐる世間のリアクションを見ても、これほどの特大コンテンツを抱えていたのかとあらためて思い知らされました。自分としては嬉しいサプライズがとても多くて飽きない年でした。

【『RWBY 氷雪帝国』ファイナル・カット版】

あにもに:まずは本放送時に色々と物議を醸した『RWBY 氷雪帝国』の再放送について話しましょう。簡単にファイナル・カット版の概要を説明しますと、こちらは2022年の夏クールに本放送があったのですが、Blu-ray BOXの発売が延期を重ねていました。そしてパッケージ化にあたって映像のリテイクが大幅に入るということで、新しく名前を付け直して、Blu-ray BOXの発売前にTOKYO MXで再放送を行っていたという具合です。

ab:なかなか珍しいスタイルですよね。業界全体から見ても前例が少ない気がします。

あにもに:シャフト作品繋がりで言えば『メカクシティアクターズ』(2014年)の再放送の頃にも同じような試みをやっていたことを思い出しました。あの時も「サマータイムリピート」という名前を付け直して修正版を放送していました。

ab:たしかに部分的ではありましたが、リテイクを流すということをやっていましたね。

あにもに:RWBY 氷雪帝国』の本放送はクオリティ的には不安定であったことは正直認めざるを得ないと思いますが、実際ファイナル・カット版はどうでしたか?

ab:やはりというべきか、本放送時に想定していた以上にリテイクが多かったですね。キャラクターの作画はもちろん、背景美術や3DCGなどありとあらゆるものがリテイクされていました。ところどころ、そこまでリテイクする必要があるのだろうか、と思ってしまうカットにまで手が入っていたりして、中盤以降はむしろ修正が入っていない箇所を探す方が難しいぐらいでした。

mochimiz:自分も修正の多さに驚きました。とはいえ、これは何度も言及されていることではあるのですが、やはりカット単位のクオリティをどれだけ底上げしようとも、シリーズ構成に不備がある以上どうにもならないものはある、という印象は受けてしまいました。

あにもに:ストーリーテリングの部分は改善できても、根本的にシリーズ構成が良くない、という問題は解消されませんよね。中盤の展開など、夢の中に入ってはピンチになり、ピンチになると夢から脱出する、を延々と繰り返していて不安になってしまいました。

ab:そもそも1クールでやるようなストーリーではないんですよね。物語の密度を考えるとせいぜい4話くらいに収めるのが適切に思えますが、それを1クールに引き伸ばしたような構成だったので無理が生じています。時系列は原作のエピソード1と2の間にあたるので、矛盾が生じないように様々な制約が与えられていたのだろうと推察できますが。

mochimiz:ただ、美麗なビジュアルは間違いなく『RWBY 氷雪帝国』の最大の魅力であって、そこに対する拘りがしっかりと見て取れたことは言い添えておきたいです。特にキャラクターのクロース・アップのカットに関しては徹底的に修正が入っていたように思います。キャラクターデザインを務めた杉山延寛さんの絵の上品さが画面によく出ており、少なくともカット単位で切り取ってみれば、かなり綺麗なアニメになったんじゃないかなと。

あにもに:そういったキャラクター修正もさることながら、特に第10話や第11話のアクションシーンに関してはリテイクというよりも、丸ごと新規カットとして付け足されていたりしました。本家の『RWBY』といえばアクションが魅力的な作品でもありますので、ここの頑張りが見て取れたのも良かったです。

mochimiz:アクションに注目するなら、長田さんと川田さんの作画パートのリテイクはもはや近年のシャフト作品のパッケージ修正におけるお約束ですよね。もともと圧倒的に物量の多い作画でファンを喜ばせているわけですが、そこへさらにエフェクトのタッチや影付けなどで情報量を著しく足しています。最終話のフードファイトのシーンでも、背景美術で描かれていた床がわざわざ背景動画に描き直されたりしていて、その美意識の高さに感動せざるを得ませんでした。

あにもに:思い返せば『マギレコ』のリテイクもそのような感じでしたよね。日本版の『RWBY』を作る上で、何を置いても大切だったのは作画でしっかりとアクションを描くということだったと思うので、ここが直っているのは大きいと思います。

mochimiz:原作が3DCGのアニメーションですから、作画で付加価値を高めるというのは日本のアニメとして妥当な判断ですよね。

あにもに:だからこそ、キャラクターに3DCGを使っていた戦闘シークエンスが直っていなかった点は驚きました。コンセプトとして齟齬が生まれてしまっていたように思わずにはいられません。

mochimiz:八瀬祐樹さんが絵コンテを担当した第6話ですね。夢の中でネガワイスとブレイクが戦うシークエンスをはじめとして、多くの戦闘シーンが3DCGで描かれています。また、劇場のような空間でネガワイスとルビーたちが対峙するシーンでは芝居も3DCGでした。

あにもに:ファイナル・カット版では多少3DCGとレイアウトに修正が入っていて映像的には改善されてはいましたが、それでも根本的にミスマッチな感は否めませんでしたね。

mochimiz:通話シーンの色コマ的な演出であったり、ルビーたちが夢から目を覚ますときに無機質なコインが等速で回転する描写であったり、八瀬さんらしさが炸裂している話数だっただけに、特に戦闘シーンが詰め切れていなかったのは勿体なさを感じてしまいました。

あにもに:演出自体は冒頭のネガワイスとブレイクの戦闘シーンなども決して悪くなくて、ロングショットとキャラクターのクロース・アップを交互に繰り返して緩急を付けていました。Bパートで現実世界のルビーたちが各々自分自身と向き合い直すシークエンスなども印象的で、特にヤンとペニーの会話シーンの完成度は作品全体から見ても頭一つ抜けていると思います。

mochimiz:徹底的な目元や口元のクロース・アップやコントラストの強さ、セリフの一言一言の区切りでカットを割るスタイル、それから『ニセコイ』(2014年)などでよく見られた撮影処理で飛び散らせている汗なんかもあって、シャフトらしい効果的な演出に満ちていました。

あにもに:元々こういったアクションを3DCGでやってしまおうという判断はコストの問題だったのか、あるいは美的判断だったのか、どちらなんでしょうね?

mochimiz:先ほど話題に挙がった『メカクシティアクターズ』はまさに八瀬さんの監督作なわけですが、「アヤノの幸福理論」も本放送では3DCGでやっていましたよね。パッケージ化にあたってリテイクされて作画になりましたが、それと同じ要領で、あくまで作画のガイドとして作ったのではないかと推測しています。つまりはどちらかと言えばコストの問題でしょうね。

あにもに:個人的な感想を言えば、もう少し夢の中の世界のイメージがぶっ飛んでいても良かったかなと思っていて、終始地味な印象を受けてしまいました。夢が題材なのでどうしても精神分析を彷彿とさせますが、父権的支配と帝国のイメージを借用するというわりとベタなことをやっていて、想像の世界にしてはビジュアルが弱かったです。

ab:空の色がほとんどずっと紫色だったという事実ひとつ取っても、映像的に少々味気なかった感は否めません。それこそ夢だから何でも良くて、シーンによってはアブノーマルを多用しても良かったように思います。例えば、クラインの喋るドアなど部分的に面白いアイデアもありましたよね。ルースター・ティース・プロダクションズが監修的なポジションで逐一チェックをしていたのだとは思うのですが、ビジュアル的にはもう少し挑戦できたはずです。

mochimiz:考えてみれば、天候も大して変わらなかったですよね。

あにもに:一応吹雪の描写などはありましたが、特に雪が印象的なアニメというわけでもなく。

ab:「氷雪帝国」と銘打っておきながら雪の感触が弱かったのは致命的かもしれません。

あにもに:そういえばファイナル・カット版では完全新作のオープニングが作られました。こちらはどうでしたか?

ab:こちらも少々物足りなかったかなと。音楽のテンポに対して、映像が一拍遅い感じが拭えませんでした。逆に振り返ってみると、本放送時のURAさんのオープニングは悪くなかったんじゃないかと思い直しました。

mochimiz:僕はむしろ本放送時からURAさんの映像編集力の高さに万雷の喝采を送りたいくらいでした。たしかに本編映像を使い回しているMADじみた映像ではあるのですが、それが故に聴覚的なセンスやグラフィカルなセンスがいっそう問われるのではないかと。

あにもに:新規オープニングは鈴木利正監督自身による絵コンテで、本編では出てこないような色使いを期待したのですが、自分もわりかしプレーンな印象を受けました。『輪廻のラグランジェ』(2012年)のオープニングなどはとてもカラフルでしたし、色味に関してはもう少し表現主義的な演出をされるイメージがありましたので意外でした。タイトルロゴが出る辺りくらいまでは良いとは思うのですが。

ab:画面分割が多かった作品でもありましたよね。新規オープニングでもタイトルロゴが出るところは画面分割でした。ただ、効果的かどうかは…。

あにもに:RWBY 氷雪帝国』の画面分割は失敗していると言っても良いかと思います。Blu-ray BOXの特典パンフレットに監督インタビューがあって、そこで画面分割に関しての言及がありましたが、日本のアニメらしい演出として画面分割を活用されていたらしいです。日本アニメにおける画面分割というと、自分はロボットアニメを思い出しますが、そこまで洗練されて使われていたわけではありませんでした。

mochimiz:作品自体が画面分割には向いていなかったということですかね。

ab:そもそもそれほどキャラクターが多い作品でもないので、ロボットアニメのように画面分割を効果的に使えるシーンがあまり無かったのかもしれません。どうして画面分割をしているのか分からない場面も多々ありました。

あにもに:何か具体的に印象に残っている画面分割はありましたか?

ab:第1話のラストシーンで、飛行船の中にいるメインキャラクター全員を映したカットは記憶に残っています。まだ正式にチームは組んでいないけれども、偶然同じ空間に一緒にいる、ということを示す上で画面分割が効果的に使用されていました。とはいえそれ以外は……。

あにもに:ファイナル・カット版で画面分割もリテイクが入るかと思いきや、そこまで変更はありませんでした。どうしても追加で収録されたアクションシーンの方に注目がいきますね。

mochimiz:追加分と言えば、最終話ラストの一枚絵が連続する場面を特筆したいです。元々はチームRWBYのメンバーだけが描かれていたのですが、ここにチームJNPRの絵が追加されました。ワイスの救出はチームJNPRの協力がなければ成し得なかったわけですから、「最高の一日」を描く上で欠かすことのできない重要なファクターと言えましょう。

あにもに:あのシーンの構想は確実に絵コンテの段階からあったはずですよね。オンエアでは作画が間に合わなかったのだと推測しますが、どう考えてもあそこはチームRWBYに加えてチームJNPRの全員がいた方が良いのは間違いないので、リテイクされて良かったです。

mochimiz:だからこそファイナル・カット版を見て、ようやく『RWBY 氷雪帝国』の物語が幕を閉じたんだなという実感がありましたね。

【『五等分の花嫁∽』】

あにもに:続いては『五等分∽』についてです。こちらに関してはすでに劇場先行公開時に『もにラジ』を収録していまして、本誌にも再掲していますので、詳しくはそちらを参照して頂きたいです。とにかく素晴らしい作品でしたね。

mochimiz:圧倒的に名作ですね。五月が本当にかわいい。

ab:近年のシャフトアニメの中でも、相当上位に自分は入れますね。

あにもに:ツイッターなどの反響を見る限り、原作ファンの心もかなり掴んでいるようです。そういえばこの前我々三人で京都旅行に行ってきまして。というのも、京都国際マンガ・アニメフェア2023で『五等分∽』をメインに据えたシャフトの展示があったんですよね。

mochimiz:弾丸で行きましたね。あまりにも強行軍すぎて、京まふ以外の行程が全部アドリブという(笑)。偶然か必然か、とにかくそれくらいシャフト熱がすごく高まっていた時期でした。

ab:傷物語 -こよみヴァンプ-』と『廻天』の特報PVの発表が9月10日で、京まふに行ったのが17日でした。さすがにこれは行かねばという思いで。

mochimiz:いざ京まふのシャフトブースに辿り着いて、『傷物語 -こよみヴァンプ-』と『廻天』の新しいポスターがあったのには完全に不意をつかれましたね。思えば、これも今年あった嬉しい「サプライズ」のひとつと言えるかもしれません。

あにもに:『五等分∽』に関してはオープニング・エンディング・本編の原画素材や、アフレコ台本が展示されていました。

ab:アフレコ台本に関してはちょっとした発見もありました。どうやら制作当初はサブタイトルが違っていたようです。最終的には「偶然のない夏休み(前編・後編)」という形に落ち着いたようですが、もともと1話は「偶然のない夏休み」、2話は「秘密の跡」だったらしいことがアフレコ台本の表紙の記載から判明しました。いずれも原作漫画のサブタイトルの引用ですね。

あにもに:これは資料的にたいへん貴重ですよね。どうして変更になったのでしょうか?

ab:ひとつ考えられるのは、このサブタイトルのままだとネタバレになるからでしょうか。もしくは原作漫画に従うなら「秘密の跡」はあくまで五月のエピソードですので、後半でクロース・アップされる四葉の要素も包含したいという提案があったのかもしれません。

あにもに:なるほど。四葉の存在感はやはり大きいですからね。

ab:四葉の話で思い出しましたが、『五等分∽』の宣伝では四葉を徹底的に隠していましたよね。ブランコのシークエンスだけは極力表に出さないという戦略を採っていました。

mochimiz:『五等分∽』にまつわる最近のトピックスですと、『メガミマガジン』2023年11月号に収録されたメインスタッフ座談会がとても面白かったです。これもかなり重要な資料ですよ。

あにもに:宮本幸裕監督、松村幸治さん、吉澤翠さんによる演出家の座談会ですね。

mochimiz:『もにラジ』の『五等分∽』回でも述べたとおり、自分は今回の『五等分∽』はお手本のようなシャフトアニメだと考えているのですが、この『メガミマガジン』のインタビュー内で吉澤さんがシャフト演出の何たるかをものすごく熱く説いていて、思わず感動してしまいました。

あにもに:例えばらいはが風太郎に詰め寄るシーンを「雄弁な女の子に男の子の主人公が詰められるシーン」として抽象的に捉えて、これをかわいく描くのはシャフトが得意とする演出なんだ、ということを吉澤さんは仰っていて、これはもはやひとつのシャフト批評です(笑)。

ab:シャフトアニメに対する眼差しがここまで強いというのは興味深いです。それと松村さんが『五等分∽』を「同窓会」的であると表現していたのも面白かったですね。

mochimiz:「同窓会」というキーワードはたしかに大事かもしれないです。振り返ってみれば『ネギま!?』(2006年)とかも同窓会的と言えますよね。奇しくもネギ・スプリングフィールド繋がりで。原作の本質を丁寧に拾っているのは当時も同じなはずなのですが、今回の『五等分∽』は原作ファンからの評価が特に高いんです。原作をシャフトらしく翻案しつつ、どのくらいチューニングして世間の感覚に合わせていくか、という部分が昔と比べて洗練されてきたということなのかもしれません。

ab:昨今のSNSの発達に伴って、視聴者目線の感覚をより掴みやすくなったというのもありそうです。昔のシャフトだったら2ちゃんねるから視聴者の反応を拾っていたので(笑)。『五等分∽』はそのチューニングの成果が最良の形で表れていたのかもしれません。

【その他のコンテンツについて】

あにもに:テレビアニメから離れて、PVやCM系に触れていきましょう。まずはJ:COMが主催していた「J:COM×U25 環境を考えるプロジェクト」のCM作品です。こちらはJ:COMによるSDGs活動の一環で、「地球環境のために、私たちができること」というテーマで140文字のストーリーを募集しており、そこで選ばれた作品をアニメにするというものでした。そのアニメをシャフトが手掛けていたことで話題となりました。

ab:アニメの案件として結構特殊な気がしています。こちらもある意味サプライズでしたよね。どのようなものが出てくるのか分かりませんでしたが、蓋を開けてみたら社内の若手スタッフを中心に製作されたアニメCMでした。監督はアニメーターで2019年入社の志村亮さんです。

mochimiz:たいへん興味深いことに、これがもう完全にシャフトアニメなんですよね。冒頭の数カットから印象的なポン引きを披露しており、カット割りも相当早く、インサートカットの入れ方も面白いです。

あにもに:原稿用紙のタイポグラフィから始まって、その上にキャラクターが覆いかぶさるように現れて、そして一気に引く。もちろんシャフトのスタイルに意図的に寄せた側面もあるかとは思うのですが、それにしても15秒という短い尺ながらも、シャフト演出の魅力が詰まっていました。

mochimiz:志村さんは最近の若手の中でも登板頻度が非常に高いアニメーターであるとはいえ、かくも早々に監督作が見られるとは驚きでした。これはU25向けのプロジェクトということで、絵コンテから仕上げまですべて社内の若い世代で作るというコンセプトがハマった結果なのでしょうね。

ab:J:COMのCM然り長田さんが絵コンテ・演出を担当した『五等分∽』のオープニング然り、社内の若手アニメーターたちからシャフトアニメへの強い眼差しを感じる出来事が続きました。

mochimiz:『五等分∽』関連でキャラクターデザインの潮月一也さんに取材した海外のインタビュー記事がありましたが、そこで語られていた「われわれの世代はみんな新房昭之チルドレンだから」という発言もあながち冗談ではないのかなと。

あにもに:もちろん潮月さんはシャフト歴の長いアニメーターですが、やはり「新房チルドレン」と言わしめるほど新房監督の存在感は大きいんでしょうね。潮月さんは時たま絵コンテも描かれて、『ニセコイ』や『幸腹グラフィティ』(2015年)をはじめとして驚くほどシャフトスタイルを徹底した画面作りをしているので、ある意味で納得です。

ab:若手と言えば静岡スタジオにも少し触れておきたいです。去年シャフト静岡スタジオAOIが発足されて、『RWBY 氷雪帝国』や『連盟空軍航空魔法音楽隊ルミナスウィッチーズ』(2022年)をはじめとして最近の作品のエンドロールに少しずつ名前が出始めましたが、『五等分∽』にもガッツリと関わってましたね。どれも新房さんの監督作品ではないというのも興味深いです。今後、AOIだけで一本作品を仕上げる未来もそう遠くはないのかもしれません。

あにもに:『プリズム・ナナ』の話をしましょうか。長らくアニメの展開としては凍結されていたものと思われていましたが、なんとこの度新しく10周年スペシャルムービーが作られました。この展開はまったく想像できませんでしたね。

ab:さすがにびっくりしました。今年も例年と同じで七夕あたりの時期に『星空編』を限定公開するだけかと思っていたら、まず6月に新展開を匂わせる「発表の発表」があって、そしてまさかの新規アニメーションを引っ提げて「新プロジェクト進行中」であることがアナウンスされました。

mochimiz:今回の『外伝もにも~ど』に収録される自分の『プリズム・ナナ』論でも少し触れていることではあるんですけれども、舞台版の展開を中心に、実は『プリズム・ナナ』というコンテンツ自体は結構しぶとく生き残ってはいるんですよね。なので『夢叶えたい…!? 希望のアドバンス[前編]』の公開くらいは有り得るかなーと思っていたのですが、新作アニメというのは全く予想外の嬉しいサプライズでした。

あにもに:今回注目するべきポイントはどこでしょうか。

ab:新規アニメーションもそうですし、新規キャラクターが描かれていることに注目したいです。中盤にビーチバレーのシーンがありますが、確実に新規デザインを起こしているであろう女の子のキャラクターが三人出てきています。ここに来ての新キャラは熱いですね。

mochimiz:この子たちも魔法少女になるんですかね。たしかによく見るとキャラクター原案のカントクさんらしさに溢れていて、明らかにメインキャラクター然としたビジュアルを持っています。少なくともこれでモブというのは考えにくいですよね。

ab:また、公開されたムービーの中には『希望のアドバンス[後編]』らしき映像も含まれています。『プリズム・ナナ』自体はもう10年前に始動したコンテンツになりますが、今回の映像を観ると『化物語』や『まどか』の頃よりも、最近の『アサルトリリィ』や『ルミナス』に近いように思いませんか?

mochimiz:冒頭で述べたように、長田さん・川田さんの作画スタイルは確実に見受けられますね。約10年前、アニメの展開が盛んだった頃の『プリズム・ナナ』には無かった色です。

あにもに:次の展開としてはどんなものが来るんでしょうね?

mochimiz:『希望のアドバンス』の流れを汲んで、OVAか1シーズンが作られてもおかしくないかなと。

ab:自分もそんな気がしますね。『希望のアドバンス』の前編・後編を再構成する形で作るんじゃないかなと思います。

mochimiz:また、『星空編』固有のキャラクターである吠埜りいのが出てきていない点も気になるところではあります。つまりはこれ以降の展開に『星空編』要素は含まれないということなのでしょうけど、10周年スペシャルムービーのYouTubeのコメント欄を見てみると、りいのがいないことに絶望しているオタクたちも見受けられるんですよ。やはり『星空編』の持つポテンシャルがそれだけ高かったということだと思いますので、これを機にまとめてパッケージ化して欲しいです。

ab:同意見です。シャフトテン限定でも絶対に買うので出して欲しいですね。

あにもに:グロスや制作協力にも少し触れておきましょう。『マッシュル』第7話、『女神のカフェテラス』第9話、そして『ゾン100』の制作協力でした。気になった作品などありましたか?

mochimiz:僕は『女神のカフェテラス』ですね。あまりにも梅津さんの絵が出過ぎていて笑いました。

ab:自分も梅津さんの登場には驚きました! これも嬉しいサプライズのひとつでした。

あにもに:桑原智監督で手塚プロダクション制作のアニメなので、流れとしては『五等分』1期のグロス回と同じでしょうね。『五等分∽』関連のインタビューを読んでいると、度々『女神のカフェテラス』で松村さんが演出処理を担当したという実績が触れられていました。『五等分∽』で松村さんが初のテレビ作品の絵コンテを任せられたのは、直近でラブコメ作品を担当したことが大きい気がします。

ab:『女神のカフェテラス』への梅津さんの参加も、旧知である松村さんが演出を担当したからこそ実現したことですよね。その繋がりで『五等分∽』の松村さんコンテ回にも梅津さんが原画にいました。『マッシュル』では演出を渋田直彰さんが担当していましたが、グロスの演出で若手がどんどん活躍していく様子は面白いです。

あにもに:『マッシュル』も格段に作画が良くなっている、と予告が出た段階からツイッターで評判でした。『女神のカフェテラス』も『マッシュル』も2期が決まっており、来年放送予定です。

ab:『ゾン100』に関しては今年最もスケジュールが崩壊していた作品のひとつでしたが、原画以降の作業をシャフトに投げるという形は独特でした。結果として制作体制は崩壊しているわけなので、効率的なのかどうかは分かりませんが。

あにもに:自分は『ゾン100』はそんなに嫌いではなくて、むしろ応援したい気持ちがあります。たしかに酷いスケジュールで放送を落としまくっていましたが、実際の映像に関しては決して悪くない水準でした。第9話にしてようやく完成したオープニングも愉快なアイデアに満ちていてとても素晴らしかったです。ストーリーに関してはちょっとノリが古すぎるきらいはありますが……。

ab:『ゾン100』のシャフト回は山村洋貴さんの作画を見られるのも良いと思います。

mochimiz:スケジュールが崩壊してでもクオリティの高いものを作りたい、という志の高さはたしかに窺える作品です。

あにもに:スケジュールに関してはシャフトも人のことを言えたスタジオではないので(笑)。だからこそ実際の完成映像を見て評価したいですね。

【シャフト周辺をめぐって】

あにもに:今年は元シャフトの演出家であったりアニメーターが関わった作品がたくさんありました。大沼心監督『痛いのは嫌なので防御力に極振りしたいと思います。2』や『魔王学院の不適合者II』、畠山守監督『かぐや様は告らせたい ファーストキッスは終わらない』、八瀬祐樹監督『アンデッドアンラック』などが代表的です。

mochimiz:去年も龍輪直征監督『咲う アルスノトリア すんっ!』、『異世界迷宮でハーレムを』、畠山守監督『かぐや様は告らせたい-ウルトラロマンティック-』、板村智幸監督『よふかしのうた』がありましたが、今年もシャフト成分が濃く感じられた年でしたね。

あにもに:自分の中で大きな存在感を放っていたのは『お兄ちゃんはおしまい!』と『アンデッドガール・マーダーファルス』でした。加えて、各話コンテではありますが、『幻日のヨハネ -SUNSHINE in the MIRROR-』に吉澤翠回、『ホリミヤ -piece-』に岡田堅二朗回などがありました。言及したい作品はいろいろとあるのですが、全部は触れられないので気になった作品を抜粋していきたいです。まずは『おにまい』の話をしても良いですか。

ab:どうぞ。自分はいったん休憩しています。

あにもに:いやいや、聞いてください! 元シャフトの今村亮さんがキャラクターデザインを務めたアニメで、放送前からたいへん注目を集めていた作品でした。オープニングの絵コンテが渡辺明夫さんだったのも象徴的で、山村さんや阿部厳一朗さんをはじめとしてシャフトのアニメーターも多数参加されていて、自分はそれこそ「シャフト同窓会」のような作品だと評していました。

ab:たしか今村さんがオープニングの原画をシャフトに正式にお願いできた旨を語っていましたよね。名前をきちんと出せる形でお手伝いしていただけたと。

あにもに:そういうこともあって期待値が相当高かったのですが、実際のオンエアを観たら自分にはとことん合いませんでした。ほぼ全編にわたって映像が間延びしていて、適切なリアクションのカットが欠けていたり、演出を犠牲にするタイプの作画アニメの功罪を感じてしまいました。また、異様なポルノ的強調は原作からも作品のテーマからも乖離があったように思います。

mochimiz:演出意図が不明瞭な広角レイアウトがひたすらに横滑りしていて、まあ端的に言えば作画至上主義ですよね。今村さんは直近では『生徒会にも穴はある!』(2022年)の半公式のファンアニメも作っていてものすごいPV数を稼いでいました。言うまでもなく信じられないほど上手いし、何回リピートしたか分からないくらい好きなのですが、やはり露骨に性欲の路線を極めにいっているなあとは思ってしまいますね。

あにもに:『おにまい』はある意味シャフトでは絶対に出来なかったポルノアニメだったので、今村さんのやりたいことが存分に発揮されていたと評することは可能です。シャフトもこれまでエッチなアニメをたくさん作ってきましたが、新房監督の描くエロスには常に上品さがあったので、仮に『おにまい』をアニメ化するにしても、このような露骨に男性ポルノ的な翻案の仕方はまずしなかったと思います。

mochimiz:特にまひろに男根が生えてきてしまう最終話なんかはあまりにも品が無さすぎましたよね。だからこそなのだと思うのですが、山村さんの絵の上品さが、オープニングの1カットだけではありますが、それでも全体を通して最も印象に残りました。あの絵が、今村さんの作監修も、渡辺さんの演出修さえも突き破って完成画面に出ていることには大きな意義を感じます。

あにもに:かろうじて演出が良かったのは第9話の黒沢守さん絵コンテ回ですかね。これはさすがに黒沢さんの腕が光っていて、最初の尾行のシークエンスからすでに上質なコメディが展開されていました。

mochimiz:今村さん曰く、絵コンテを読んで泣いたのは『魔法少女まどか☆マギカ』(2011年)第10話と『おにまい』第9話だけかもしれないと。イメージBGも効果的に使っていたし、ギャグテイストが強い中で、わりと堅実な演出で泣かせにくる回で良かったんですけれど、ただ『まどか』第10話はちょっと、これは全然『おにまい』に限った話ではなく、あらゆるアニメと比較してもまるで格が違うと言いますか……。

あにもに:自分はその今村さんの発言はわりとショックで、そこで『まどか』の第10話を引き合いに出されるのは辛かったです。

mochimiz:それと個人的に触れておきたいのは、元シャフト繋がりで松本元気さんが参加されていた点ですね。先に触れたように、広角だらけの『おにまい』はある意味ではシャフトの正反対をいくような画面づくりが多かったかと思うのですが、松本さんが原画を担当した第4話は『ひだまりスケッチ』(2007年)や『らき☆すた』(2007年)を思わせるような超望遠でパースを潰したレイアウトが印象的に配置されていました。

あにもに:ちなみにabさんは未見なんですよね?

ab:未見です。あにもにさんが会うたびに散々批判していたので、観る気が起きませんでした!

あにもに:その節は申し訳なかったです(笑)。他に観たアニメはありますか?

ab:『幻日のヨハネ』を観ようとしたんですけれども、2話時点でギブアップしました。

mochimiz:ヨハネ』の吉澤翠回はとても良かったですよ! 個人的に『リコリス・リコイル』(2022年)で総作画監督を務めた山本由美子さんの絵がかなり好きで、『ヨハネ』でも獅子奮迅の大活躍だったのでとても楽しめました。できれば全話見てください、と言いたいところですが、2話や3話はかなり虚無なので気合いが必要かもしれないです。

あにもに:自分も『ヨハネ』の第7話で吉澤翠さんが登板したことを知って急いでアニメを全部観たんですが、ストーリーがあまりにも貧弱ですね。

mochimiz:でも『ヨハネ』はこれで良いんですよ。なんならもっと虚無な方が良かったんじゃないかとさえ思います。微妙にダークなストーリーがあって、一応はそれが主人公であるヨハネの成長に寄与してカタルシスを生むのですが……。どちらかと言えば、それこそ吉澤さんがやった女子会回のような可愛いエピソードをもっとやって欲しかったです。

ab:たしかにそちらの路線の方が良かったかもしれないです。中途半端にストーリーが存在するからこそ虚無感が目立っていました。

あにもに:でもさすがに吉澤さんのエピソードは一番良かったですね。吉澤カラーがとてもよく出ていました。女子会の回を担当したのはある意味で必然でした。

mochimiz:Aパートからカットの積み方が明らかに異常に素早く、シャフトらしさ全開でした。色コマに足跡が「ててて」と走る演出もあったりして、これなんかは『ひだまり』のパロディですよね。すごく可愛くて楽しい話数だったのですが、一番驚愕させられたのは吉澤さんのシャフトオタクぶりだったかもしれません(笑)。

あにもに:演出への志の高さという意味では、個人的に注目したいのは『アンファル』です。

mochimiz:『アンファル』は脚本が相当しっかりしているのが良かったですね。

あにもに:ミステリーで伝奇小説的で、とにかくひたすら喋り倒すというスタイルはどことなく西尾維新っぽさを彷彿とさせる作品です。

mochimiz:新本格みたいなことをしていますよね。ただ、事件が起きてから解決に至るまでを4話から5話くらいかけてじっくり描いているので、少々間延びしてしまっている印象はありました。特段大きな引きを作らずに話数を跨ぐことが多くて、いわゆる「3話切り」の警戒も全然していなかったのは驚きでしたね。

あにもに:たしかにシリーズ構成がやや不親切で1話ずつ追うのは辛かったかもしれません。謎解きをしているかと思ったら、急にハチャメチャな戦闘が始まったりもする。畠山監督をはじめとして、各話にも武内宣之さんや川畑喬さんが入っていたり、作品のテーマも相まってもはや〈物語〉シリーズではないかと思ってしまう瞬間さえありました。

mochimiz:オープニングディレクターは10GAUGEの依田伸隆さんで、K-POPの流行を取り入れた目ざとい楽曲を最大限尊重した素晴らしい映像でした。依田さんとシャフトと言えば『3月のライオン』(2017年)のオープニングである「春が来てぼくら」がありますが、心なしかタイポグラフィの印象が近い気がします。もとい、きらきらと透き通るような明朝体のテロップワークは手癖なのかもしれません。

あにもに:この場で言及しておきたいのは、近ごろの畠山作品で見られる「雑クロマキー演出」です。俺ガイル研究会を主宰しているアニメブロガーの才華さん(@zaikakotoo)が命名されたものです。

mochimiz:どうやら最近畠山さんがハマっているらしい演出ですよね。あえて雑なクロマキー抜きの跡を画面上に残すという試みは『かぐや様』でもやっていました。

あにもに:どういった演出意図でやっているんでしょうね。

mochimiz:効果の有無はあまり考えていないのかなと思います。『かぐや様』の2期や3期は特に実験的な演出が多くあったので、あくまでそのひとつな気がします。

ab:映像的な見栄え重視ということですか?

mochimiz:見栄えでもないと思います。うまく言えないのですが……とにかくなんでもやってみて、表現としてハマりそうだったら継続して採用するといった具合ではないかと。

ab:純粋に実験的ということですね。

あにもに:自分としてはあまり汚い画面は好きではないので微妙な気持ちです。

mochimiz:翻って去年の末に『女の園の星』(2022年)という漫画のOVAを畠山監督が作っていましたが、そこではひたすらにシャフト演出と原作の絵の親和を目指していました。『アンファル』や『かぐや様』とは全然違う方針が見受けられたので、今はやはり模索中なのかなという風に僕は結論付けています。

あにもに:『アンファル』は画面分割が良かったです。少なくとも『RWBY 氷雪帝国』とは比べ物にならないほどです。

mochimiz:やはり作品との相性だと思うんですよ。輪堂鴉夜がひたすら喋り倒している間に、他のキャラクターたちはそれぞれ固有のリアクションを見せているわけで。それを写し取るとなれば画面分割はうってつけですよね。

あにもに:ミステリーは切り返しショットがとても大事になってくるので、そこで画面分割を上手く活用するというのは合理的かつ効果的ですよね。武内さんがコンテを切った第8話では特にユニークな画面分割が観られました。そこで武内回繋がりで、もう一度『RWBY 氷雪帝国』の第3話を観たんですけれど、そうしたらこちらでは画面分割はしていませんでした。

mochimiz:それは重要な指摘かもしれません。少なくとも武内さんの中には、『アンファル』は画面分割に適している、『RWBY 氷雪帝国』は適していない、といったような線引きがどこかにあるのでしょう。

あにもに:おそらく『RWBY 氷雪帝国』における演出方針のノルマのひとつに、ほとんど毎回画面分割を挿入するというようなものがあったのだろうと推測しているのですが、武内さんの志の高さはさすがだと思いました。武内コンテはキャラクターのクロース・アップの入れ方と、アオリのカットがとても特徴的です。そして今期は八瀬監督の『アンデラ』がつい数日前に始まりました。第1話から飛ばしていましたね。

mochimiz:八瀬祐樹劇場が始まるのかと思ったら、初っ端から紺野大樹劇場が始まりました! 紺野さんの絵力がさすがすぎましたね。

あにもに:構成も技巧的でしたね。あの劇中劇を冒頭でまるっと入れ込むのではなく、しっかりと回想のシークエンスとカットバックしていて、最初から思いっきり作品に引き込まれました。

mochimiz:ある意味では前情報無しで見始めた人たちを突き放すような大胆すぎる演出ですが、八瀬さんはそれでもやるんですよね。美意識の高さを感じられてとても良かったです。

あにもに:初っ端から作画と演出で攻めていました。正直ストーリーとキャラクターに関しては良くも悪くも地味なジャンプ漫画という感じでした。とはいえ人気の原作なんですよね?

mochimiz:いやあ、どうなんでしょう……アンケートの順位的にはあまり人気な方とは言えないようですが、それでもジャンプで連載しているという事実は大きいです。

あにもに:1話を見た感じですと出オチ感がありましたが、八瀬監督の画面設計はさすがに面白かったですね。新宿の駅前とわざわざ質素なテロップで示しておきながら、まるっきりモブを排除して無人のシーンに設定していたり、よくこれで通ったなと思いました(笑)。

mochimiz:建物の外観の超ロングショットや横長フレアなど、他にも八瀬さんらしい演出が大量に仕込まれています。PVに見られる3DCGの円卓も八瀬さんの監督作である『クビキリサイクル』(2016年)を凄まじく彷彿とさせてドキドキしますね。

あにもに:同じく八瀬監督でdavid production制作だった『炎炎ノ消防隊』(2019年)のときも強く感じましたが、カットの割り方から撮影処理の付け足し方までシャフトの得意とする演出を常にブレンドさせ続けていますよね。今回の『アンデラ』も例外ではありませんでした。

mochimiz:2023年現在、シャフトを抜けてもなおシャフト成分を一番濃く保っているのは八瀬さんな気がします。『明日ちゃんのセーラー服』(2022年)の第5話でも、満月寮の看板をひだまり荘の要領で一文字ずつカットを割ってコミカルに演出してみせ、そこへさらに大熊実ちゃんの目元のアップを繋いでいたのが脳裏に焼き付いて離れません。大好きな話数です。龍輪さんや板村さんはどうでしょうか。

あにもに:龍輪さんは少々微妙かもしれませんが、板村さんはむしろ抜けてからさらに先鋭化しましたね。『るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚-』(2023年)のオープニングは自分的には駄目でしたが、『ヴァニタスの手記』(2021年)や『よふかしのうた』はとても面白かったです。ところで、元シャフトの演出家が手がけるアニメは『アンファル』にせよ『アンデラ』にせよアンデッド系の作品が多いのが気になっています。

mochimiz:何か特定の意味が見出せるかというと微妙ですが、現象としては面白いですよね。

あにもに:板村監督の吸血鬼作品への異様なこだわりを含めて、八瀬監督は『アンデラ』、畠山監督は『アンファル』、今度の岡田監督の『黒執事』にも不死のイメージが付きまとっています。元より新房監督は吸血鬼作品を多く手掛けていたこともあり、シャフト演出とのシナジーがあるのかもしれません。

ab:新房シャフトの歴史は『月詠 -MOON PHASE-』(2004年)から始まっているので、そういう意味でも吸血鬼ものの系譜は確実に流れていると思います。

あにもに:ほぼ全員〈物語〉シリーズ経験者ということもまた注目に値すると思います。『アンデラ』のコンテ布陣はすごく気になりますね。

mochimiz:無茶なことを言うと、榎戸駿さんとかやって欲しいですけどね。シャフト外の作品で度々シャフト演出を繰り出していることでもはやお馴染みなので。直近でも『Fate/strange Fake -Whispers of Dawn-』(2023年)の色コマ・文字演出がありました。

あにもに:ただやはり榎戸・坂詰コンビで動いているので、順当に考えれば『Fate』シリーズにそのまま流れるでしょう。『アンデラ』に来そうなのは、『炎炎ノ消防隊』組だった黒沢さんや川畑さんでしょうね。とても楽しみです。

【今後の劇場展開について】

あにもに:2023年の最大の話題としては、『傷物語 -こよみヴァンプ-』と『廻天』の特報PVが出たことでしょうね。『廻天』の方は前々から発表があったのでいつか続報があるだろうとみんな待機していたと思うのですが、『傷物語』の新作に関しては本当に突然でした。

mochimiz:完全に不意打ちでしたね。Aniplex Online Fest 2023で『廻天』の発表がタイムテーブルのラストに置かれていて、ひとまずは終盤だけ気を付けていれば安心かと思いながら軽い気持ちで配信をつけていたら、まったく何も身構えてなかったタイミングで急に発表されました。総集編ではありますが、自分然り、『傷物語』が好きすぎるオタクたちにとっては『廻天』に肉薄するくらい強烈な一撃だったかもしれません。

あにもに:自分も『廻天』の発表直前あたりから配信を見ようと思って緊張を解いていたら、その前からDiscordの通知が鳴り止まなくて何事かと思いました。

mochimiz:3部作を1本にまとめるとのことですが、果たして新規カットはあるのか、そしてもしあるとしたらどのくらいの量なのか、とても気になります。『神谷浩史小野大輔のDear Girl~Stories~』2023年9月30日放送分の神谷さんの発言によれば、アフレコ収録は追加でやっているみたいですが。

あにもに:それに劇伴も新しく付け直しているらしいんですよね。シーンを圧縮したときにどうしても齟齬が生じる場面はあると思うので、そういう意味で劇伴を引き直すことは全然あり得るとは思うのですが、どれくらいいじっているのか気になるところです。

ab:見所としてはどのように映像を繋ぎ合わせるかに尽きます。『傷物語』のような分割商法は今ではわりと一般的になりましたが、当時としてはあまり見られなかった形式ですよね。それを今度は逆にかつて分割したものを再構成してまとめるということをやっていて、感慨深いものがあります。

あにもに:そしていよいよ待ちに待った『廻天』の続報がついに出ました。新しい情報としては2024年冬という公開時期の発表と、90秒の特報PVでした。こちらは皆さんどのように見ましたか?

mochimiz:繰り返しにはなりますが、長田さんと川田さんの作画スタイルが見て取れたのはあまりにメモリアルだと思っています。『マギレコ』でしっかりバトンが受け渡されて今この瞬間があるわけですから、やはり『マギレコ』は決して失敗ばかりではなかったということを強く主張したいです。

あにもに:たしかに『廻天』がもし2016年とかに公開していたら、こうはならなかったわけですからね。まだ『Fate/EXTRA Last Encore』(2018年)もやっていなかった時期ですから。

mochimiz:特報の出来は全体的に素晴らしいですよね。セルも色味も美術も撮影もトップクラスです。『まどか』の世界観を逸脱しない範囲内で絵柄ががらっと変わっているのも面白いです。特にポン寄りで映る悪魔ほむらの顔は必見です。やたらと可愛い。

あにもに:噴水の前に立っているほむらの顔もすごく今風になっていますよね。自分も『廻天』の特報で最初にほむらに3回ポン寄りするショットが大好きです。逆に3回引いてみせたのが『叛逆』のオープニングのラストカットだったので、その対比を感じずにはいられません。

ab:演出全体がブラッシュアップされていて良かったと思います。特に昔だったら美術で描いていたであろう背景を今回は3DCGで描いていて、そういった変化も面白いと思いました。ストーリー的には2015年に作られた新作コンセプトムービーとの繋がりがどれくらいあるのか注視しています。

あにもに:たしかにコンセプトムービーもありましたね。

ab:コンセプトムービーは虚淵玄さんが書いた大まかなプロットを元に、新房監督と劇団イヌカレー(泥犬)さんが様々な要素を付け足す形で「脚本」にして映像を作ったらしいので、その脚本がどれくらい『廻天』に反映されているのか気になっています。これが『まどか』シリーズとしての最終作になるのか、はたまたこれを通して別の作品群が展開されるのか、興味は尽きません。

あにもに:世間的には10年越しの新作ということで、めちゃめちゃハードルが上がっている予感がします。

mochimiz:ちょっと怖いまでありますよね。シャフトオタクとしては常に動向をチェックしていたわけですが、そうでない人たちと話してると「ワルプルギスの廻天って単語自体数年ぶりに聞いた」という意見も多くて。まさかここまで期待値が上がっているとは思っていませんでした。

ab:ただ特報はその期待に十分に応えられていたと確信しています。

あにもに:せっかくなので、ここで『魔法少女まどか☆マギカ scene0』の話もしておきましょう。先日『マギアレコード』のゲーム内で実装されたストーリーですが、『scene0』は『まどか』の直接的な前日譚にあたる物語であるということが明言されており、おそらく『まどか』シリーズの中で最重要に近いコンテンツです。

ab:『scene0』の配信日が一般的にキリの良い日付ではなかったのは、まどかの誕生日である10月3日になんとしてでも合わせる形で準備していたからだと思うんですよ。こういう仕掛けひとつ取ってみても、いかに『scene0』が『マギレコ』ではなく『まどか』を意識しているのかが窺えます。

mochimiz:ネタバレになるので深い言及は避けますが、いろはややちよなど『マギレコ』のキャラクターは全然出てこなくて、まどかやマミら見滝原組をメインに物語が展開されています。

ab:『まどか』への意識は、タイトルロゴを比較してみても分かりやすいかもしれません。『叛逆』以後の関連タイトルのロゴは、ほとんどが劇場版ベースになっていたんです。しかし今回の『scene0』は「魔法少女」というフォントもテレビシリーズに寄せています。『マギレコ』との関係性が薄いことが如実に表現されていて、あくまでも『まどか』の前日譚であるということが高らかに宣言されているようにも思えます。

あにもに:主人公は愛生まばゆという女の子で、ぼっちで陰キャで、しっかりとクズっぽい要素もあって可愛らしいです。

mochimiz:ぼっち概念や陰キャ概念は最近の流行りですよね。それをかなり前面に押し出しています。

あにもに:これはメインストーリーのネタバレに若干なりますが、謎の現象によって時間が停止して、まばゆちゃんはその中を自由に動けるのですが、その間にやることがことごとく不正行為で面白いです。時間停止に戸惑いながらも、次なる不正の計画を考えているという(笑)。

mochimiz:CVが早見沙織さんなのがまたハマっていると思います。ここに早見さんを起用したのはけっこう批評的な気がしていて。というのも、ここ数年のぼっち/陰キャ概念ブームを牽引する大ヒット曲であるHoneyWorksの『可愛くてごめん』を歌っているちゅーたんというキャラクターのCVが早見さんなんですよ。

あにもに:タイトルは聞いたことがありましたが、早見さんだったんですね。

mochimiz:可愛くてポップな曲調ももちろんヒットの要因かと思いますが、やはりぼっち/陰キャ概念の暗くてじめっとした部分を肯定していく歌詞の存在感は大きいです。そういうある種の露悪文脈の中心に早見さんが立っている状況を認識した上でまばゆのCVに早見さんを起用したのだとしたら、見事と言う他ないです。インターネット文化への強烈な目配せを感じますね。

あにもに:なるほど、実際まばゆはシネフィルという設定で、すごくメタフィクショナルなキャラクターですよね。毎回ストーリーに映画ネタが入っていて、しかもタイムリープ系の映画ばかり観賞しています。シネフィル感があるのかどうかは分かりませんが。

mochimiz:うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』(1984年)を観ていると思われる描写が取り沙汰されている印象がありますが、これがもし本広克行監督による実写映画の方だったらどうします?

あにもに:そんなシネフィル叙述トリックの可能性があるとは! 『バック・トゥ・ザ・フューチャー』シリーズを観ていたのもロバート・ゼメキス監督を擁護する志がまばゆちゃんにあるのかもしれません(笑)。

mochimiz:タイムリープに詳しいという設定がどう生きるのか楽しみですね。例えば『SSSS.GRIDMAN』(2018年)では内海将というキャラクターが特撮オタクで、戦闘のアドバイスやコミュニケーションの不和の象徴といった形で設定が生かされていました。おそらくはそういう類のキャラ付けをやろうとしているんでしょうね。

ab:メタフィクショナルというと脚本を担当している下倉バイオさんについても触れないといけません。インタビューを読む感じだと、下倉さんが『scene0』のゲームシステムにまで関与しているらしくて、すごい気合の入りようです。

mochimiz:あまり言及するとまたしてもネタバレになってしまいますが、プレー中にメニューのデザインが突然変わったりするんですよ。これも下倉さんによる仕掛けなのかもしれません。

あにもに:『まどか』の本放送の頃に、虚淵さんがインタビューで同じループものとして『スマガ』(2008年)や『STEINS;GATE』(2009年)に繰り返し言及していたので、そのシナリオライターであった下倉さんがこのような形で『まどか』シリーズに携わることになるとは思いもよりませんでした。

mochimiz:主題歌についても触れておきたいです。シユイさんが歌う『GLOW』で、配信されてから毎日聴いているくらい大好きな曲です。興味深いのは作詞・作曲に加えて編曲までツミキさんが担当している点です。『フォニイ』というボカロ曲でたいへん有名な作曲家ですね。

ab:ツミキさんは多分あにもにさんでも聞いたことあると思いますよ。

あにもに:ごめんなさい、音楽は明るくなくて……。

mochimiz:『まどか』関連作品の主題歌と言えば、作詞・作曲は渡辺翔さん、編曲は湯浅篤さんという布陣がお馴染みです。特に湯浅さんの編曲が作品全体の統一感に大きく貢献していることは、『マギレコ』の主題歌を聴き比べていただければ分かりやすいかと思います。今回はその法則を打ち破っているのですが、それでいて湯浅さんの編曲を明らかに意識してもいるんですよ。ここが個人的に気になるポイントですね。

あにもに:自主的に寄せていったのか、湯浅さんが元々編曲を担当される予定だったのか気になりますね。

mochimiz:『scene0』は『まどか』シリーズにとって重要な作品であることが予想されるのにも関わらず、ここで湯浅さんを外してきたのはなかなかの決断だと思っています。先ほどの早見さんの話にも繋がってくるのですが、もしかしたらインターネット文化に傾倒しているプロデューサーがいるのかもしれません。

【さいごに】

あにもに:その他のシャフト関連のコンテンツと言えば、『マギレコ』のゲーム内変身ムービーなども「シャフトアニメの生成装置」(『もにも~ど』所収・北出栞「スマートフォンゲームによる「アニメ」の拡張──『マギアレコード』が達成したもの」参照)として継続してありました。あとはU-NEXTでやっていた「THE PLAYBACK × さよなら絶望先生」という単発の番組がありました。

mochimiz:どう考えても絶望リスナーが作ってる番組ですね(笑)。BGMの選び方、挿入の仕方がまさにという感じで。

あにもに:この時代に神谷浩史さんと野中藍さんの対談が見られるとは思ってもみなかったので、テンションが上がらずにはいられませんでしたね。特に神谷さんが『俗・さよなら絶望先生』(2008年)の第1話で流れたトロイメライの歌の歌詞を暗唱したりしていて、どこまでも偉大な声優です(笑)。

mochimiz:野中さんのふわふわしている感じもまたとても良いんですよね。『さよなら絶望放送』の好きな回を挙げると、谷井あすかさんゲスト回に加えて野中さんゲスト回は必ず入ってくるという個人的な趣味もあって、たいへん楽しめた番組でした。

ab:自分はこの前「ルミナスウィッチーズ~リクエストアワーvol.01~」というライブに行ってきました。『ルミナス』も何か新しい展開を期待したいところです。

mochimiz:ライブと言えば自分は「marble presents つむぎ Vol.2」に行ってきました。個人的にmarbleはタイアップがない曲でもアルバム単位で聴いていて大好きなんです。 eufoniusriyaさんがゲストだったのですが、大トリが『ひだまりスケッチ×365』(2008年)のエンディング『流星レコード』のデュエットでいたく感動しました。「つむぎ Vol.1」では最初に『芽生えドライブ』を演ったみたいで、『ひだまり』シリーズへのたしかな目配せを感じざるを得ません。

あにもに:marbleのライブを調べていたら、どうやら『ひだまり』ガチ勢にとってはマストのイベントらしいですね。

mochimiz:結構面食らったんですが、ライブというよりは、ファンクラブイベントっぽい側面が強いんですよ。歴戦のひだまらーと思しき人たちがたくさんいて、X(旧Twitter)のことを「ゆのっち」って呼んでいたりして。

あにもに:ヤバすぎる!

mochimiz:さすがに勝てないなと(笑)。同時に、ファンとmarbleの距離が近くて良いイベントだなと思いました。

あにもに:ライブの話で外せないのは「Daisy×Daisyホールワンマンライブ Magical sweet collaboration☆Daisy×Daisy×プリズム・ナナ」ですね。まさかの『プリズム・ナナ』の名前が冠されたライブが、11月11日に開催予定です。

ab:奇しくも文フリ当日で、この座談会が収録された合同誌が頒布される日です。

mochimiz:Daisy×DaisyのMiKAさんは『星空編』でヒナという女の子の声優をやっているのですが、ライブの予告映像のナレーションが完全にヒナの声でびっくりしました。自分としては今回このタイミングで『プリズム・ナナ』論が書けて本当に良かったです。

あにもに:考えうる中で最高のタイミングです。mochimizさん持っているとしか言いようがありません。

mochimiz:もちろん10周年の発表に触発されて筆を執った節はあるのですが、とはいえまさか論考の発表とライブがこうもぴったり同じ日になるとは……。『星空コネクション』は僕にとってオールタイムベストアニソンのひとつなので、生で聴いたら泣いちゃうかもしれないです(笑)。

ab:実は3人でチケットを取っているので、これから行ってきます!

あにもに:たしかに後日談というか今回のオチは、「行ってきます」ですね(笑)。本日はありがとうございました。

 

『もにラジ』の過去回は下記リンクにまとまっています。