ゴールデンウィーク、都内某所にて「劇団新房昭之研究会のウワサ」なるものが出没したので参加してきました。
今日は新房昭之研究会があると聞いて少しだけ顔を出してみました。どういう会なのかワクワクです。 pic.twitter.com/n0E6e22eof
— あにもに (@animmony) 2022年5月4日
どうやらツイッターのシャフトガチ勢が集まり、『魔法少女まどか☆マギカ』1話を鑑賞しながら全カットを止めて映像分析する会のようでした。最近流行りの倍速視聴とは逆行していますが、とても濃密な討論が繰り広げられていて大変刺激を受けました。
あらためて『まどか』1話を観て最初に自分が思ったのはPANUPの使い方に関することでした。『劇場版 魔法少女まどか☆マギカ [前編]始まりの物語』との対比で考えてみると分かりやすいのですが、教室でほむらが自己紹介をするシーンを比較してみてください。テレビ版では通常のPANUPだったのに対して、劇場版では作画PAN(尺も大幅に増えている点も、本来再編集版は尺を詰める作業が求められることを考えると見過ごせないポイントだと思います)で描かれていて、後者は明らかに新房監督のテイストが滲み出ています。
劇場版とテレビ版の比較動画です。大事なPANの始点が切られてしまっていて残念ですが、違いは分かると思います。
PANUPに注目してみると、まどかと詢子が洗面所で会話するシーンで、朝の支度を終えて決めポーズをするカットが、テレビ版ではノーマルのPANUPで見せていたのに対して、劇場版ではFIXで引きの絵になっています。ここで興味深いのは、テレビ版ではキャラクターの全身を見せる紹介カットをPANUPの連続で映していたところを、劇場版では観客が最初に目撃するPANUPがほむらの渾身の作画PANになっている、という点です。
劇場版では観客がまどかの視点により入り込めるように映像を再構築してみせた、と新房監督がインタビューで述べていたと思いますが、自分の記憶が正しければそこではテレビ版の1話アバンにあたるまどかの夢のシーンをカットしたことが挙げられていました。たしかに夢のカットは大胆なアレンジなので、それと比べたら些細な違いのようにも見えるかもしれませんが、個人的にはここのPANの差異は同程度に重要な要素に思えてなりません。ほむらの作画PANのカットは実に新房監督っぽいな~と感じる部分ですが、それと同時に劇場版を観ていて一番はじめに不吉な違和感を抱く部分でもあるので、演出として非常に効果的かつ正確な描写だと思います。1話の絵コンテは芦野芳晴さんでしたが、新房監督の作風が相当出ています。
……といった余談をする時間もないくらい、研究会は充実していました。また次回も開催希望です。